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県内神職取材ー鎮懐石八幡宮 空閑宮司ー

【糸島支部 鎮懐石八幡宮 宮司 空閑】

◎日本人の生き方である「道」について

1.サッカーワールドカップで賞賛される振る舞い

規律ある行動範囲

具体例として、サッカーワールドカップで試合後、”負けた試合であっても”ゴミ拾いをするファンやサポーター(来た時よりも美しく)。綺麗に整理整頓して感謝のカードを残して帰る選手たち(立つ鳥跡を濁さず)、負けた試合で、応援してくれた応援席に深々とお辞儀する監督の姿は外国では驚きを持って称賛されています。Discipline「規律」という言葉。

Polite「礼儀正しい」は個々人の性格を指しますが、「規律」は民族全体が持つ行動規範という意味合いがあります。つまり、日本人には規律をもった行動規範があるというのです。

宗教の教えや戒律ではなく、日本人の生き方

外国からの観光客(キリスト教やイスラム教)が増えて、日本について驚くことが報道されている。道にゴミが落ちていない、高額商品の落し物が戻ってくるなど。

彼らには経典や教えがあり、厳格な戒律に従って生きている人たちもいます。「〇〇しなさい」「〇〇してはいけない、食べてはいけない」など。しかしそんな教えが厳しい宗教の人々が日本人は規律を持っていると言って驚いている。

その日本はというと、宗教の「教義」「戒律」があるわけではない。「良い行い」「生き方」としてやっている。

2.日本は「道」の国、人生を通して修行する

では、日本に規律ができたのは最近のことでしょうか?昔から続いているのでしょうか?

日本人は「道」を重んじる。茶道、華道、書道、武道、剣道、柔道、合気道、弓道、武士道。

空手道・相撲道。礼に始まり礼に終わる。正座して精神統一、道場には神棚があり神聖な場所であるため一礼して入る。単なるスポーツではなく精神修養も伴う。そして神社の神道。

○○教ではなく神の道。

「道」というのは人生を通して長い時間をかけていくプロセスであり生き方。日本的な考えであり、日本の文化です。

武道でも書道でも、十級から始まって一級に進み、次に初段になり難易度が高い五段六段と進んでいく。年を取っても人生を通してその道を歩んでいく。

(ア)日本人は一生修行を続ける

徳川家康の「人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くがごとし。」がよく知られています。

「一生修行です」はよく聞く言葉です。人生をどう生きるか、生き方やプロセスを重視する。プロレスのアントニオ猪木「道」は、日本人には心に響いて有名になりましたが、外国だったら心に響かなかったと思います。

  • というのも「外国は、結果が全て」「結果とは成功のこと」「成功とは金持ちになること

外国、特にアメリカの自己啓発の本を読むと全て同じ目標が書いてある。「金銭的な成功」をすることが大切。人生で価値があることは「金持ちになること」。

勝負事であれば、勝たなければ意味がない。勝者は全てを手に入れる。敗者はLoserと言いますが、単に負けた人という意味合いをはるかに超えた侮辱する言葉です。日本人には理解し難いですが、この言葉が出るとその場に緊張感が走ります。

1990年代に人気だった落合信彦さんは、「日本では、負けたけどよくやったと言うが、アメリカにはそんな言葉はない。敗者は惨め以外の何者でもない。勝たなければ意味がない。結果が全てだ!勝て!」という言葉が印象的だった。

3.日本では「正しい行い」をする生き方を推奨される

日本では、勝ち負けや結果だけにこだわるわけでなく、たとえ誰も見ていなかったとしても正しいこと・良い行いをすることを「お天道様が見てくれている」という考えが昔からある。お天道様とは日本では最高神の天照大御神。

  • 他のモノへの配慮、他人へのリスペクト

また、全てのものに神が宿る八百万の神の自然信仰が、道路にゴミを捨てることは道の神様に申し訳ないという思いがあり、掃除をする人への配慮もある。

(イ)日本ではコロナに対して「要請」「推奨」で対応できたのは「正しい生き方」のおかげ

コロナで欧米など世界では罰金付き外出禁止が出て街をロックダウンしていた一方、日本では外出を控えるよう呼びかける「要請」をしただけ。

イタリアの州知事や市長が騒いでいる若者たちへテレビ放送で「卒業パーティーをしている者がいると聞いた。火災放射器を持った軍警察を送る。」日本では政治家がこんなことを言わなくても正しい行いをしようと努める。

(ウ)豊かな日本食文化

ドイツ人「いただきます。ごちそうさま。は食材・食べ物へのリスペクトであり、それが豊かな食文化を産んでいる。」

4.伝統が日本人の生き方を作り上げてきた

これらの日本人の考え方や行動は、何百何千年と続いてきた文化や伝統が、日本人の生き方を作り上げてきました。

私がなぜサッカーワールドカップの話を持ち出したのかというと、神社の祭典、年末のお礼配り、注連縄作りなどの昔から続く神社の伝統文化も日本人の考え方や行動を作り上げてきた要素の一つだと考えているからです。

皆様のご尽力が長期的にはサッカーワールドカップで世界に誇る日本人の行いを育てていると思います。

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